注意:特定人物への批判ととれる内容が含まれます。ごめんなさい。
どうも。
2024年から発行予定の新紙幣と、21年から発行予定の新500円硬貨のデザインが発表されました。
https://www.mof.go.jp/currency/bill/20190409.html
紙幣のほうがダサいダサいとインターネットで騒ぎになっていますね。
正直私もちょっとダサい(この場合は単に見た目が粋ではないという意味)とは思うのですが、言われているほど悪いとは思いません。
UD=ユニバーサルデザインを考慮し、偽造防止策を講じた結果こうなったのであれば「まあダサいけど使いやすいならこんなもんか」と思えるからです。
ユニバーサルデザイン
UDについては例によってwikipediaをご参照ください。よくわからない人は、「誰でも使える」ようなデザインだと思っていただければ。
ユニバーサルデザインと似て非なる概念として「バリアフリー」があるのですが、こっちは「バリア(障害、障壁となる事象)」を「フリー(取り払う)」ことを目的としています。
よく教科書とかで例に出てくるのは、バリアフリーは階段の横にスロープをつけて車椅子ユーザーや台車を持っている人も移動しやすくすることで、ユニバーサルデザインは階段を排除して最初から緩い坂道を作ること、という考え方です。バリアフリーはバリアに対する問題解決の手法で、ユニバーサルデザインはバリア自体を発生させないための手法です。
赤ペン先生、ちゃんと三種類見た?
このブログであまり特定の人の悪口とか書きたくはないのですが、あるTwitterユーザーの投稿がどうしても気になったのでやらせてください。
プロのデザイナーが新一万円の気に入らないところをまとめてみたよ
— 𝗠𝗖シラタマ (@ib_3rd) 2019年4月10日
(まだまだ書きたいことはあったけど書ききれなかった) pic.twitter.com/dbi8Dvg2k4
はい。
ちなみにこの人、bioのリンクもメディア欄も見たんですけど、自作のイラストが何点かあった以外作品が全然なかった。本当にデザイナーか?ポートフォリオのポの字もないぞ…
まあ、会社や案件によっては自分の名前を出したりポートフォリオに入れられなかったりすることもあるので、一旦黙っておきますが、とりあえずツイートそのものの感想を言います。銀魂ノリ寒っ。
冷静になって、指摘について見ていきましょう。
まず新紙幣そのものから
一万円札
五千円札
千円札
で、赤ペンの入った画像
基本的に、三種一気に変えたということは三種揃うことで初めてデザイン意図が理解できるようになっています。
例えば、一万円札と千円札の「1」のフォントが違う(一万円札の方は縦棒にハネがある、千円札の方は縦棒だけ)のは、同じ1から始まる紙幣ゆえに混乱を防ぐためと考えられます。フォント自体も判別しやすい細めのスッキリしたものが使われ、見た目の統一感と可読性を上げています。このフォントがダサいと言われていますが…
また、一万円札と五千円札には帯(顔と花の模様のライン)が入り、千円札に入っていないのも、
一目見たときに判別がつくようにしたと考えられます。
色や透かしの形の違い、また、文字や装飾の位置の違いも、基本的には同じ材質、似たようなサイズの紙幣を区別することを重視したデザインであると言えます。
現行の紙幣を見てみましょう。
http://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/valid/issue.htm/
一万円札
五千円札
千円札
二千円もあるのですが流通数が少ないのと、今回の刷新には含まれていないので除外しました。
こうやってみると現行のものは
・ほぼ同じレイアウト
・小さく詰まった数字
・似たような装飾
が気になります。いや、情報が整理されていて見た目にも洗練された印象があると言えばそうなんですが…
みなさん、薄暗いところで小さく畳んだ封筒から目的の一枚を出すとなったときを想像してください。多分現行紙幣はちょっと時間がかかると思います。私だと「1」が見えた時点で取ったお札が一万円札か千円札か、1発で判断できる自信がありません。
一応、現行のものもサイズや色の違いできちんと区別がつくようにはなっているのですが、金額ではなく真ん中の装飾だけ見てしまったり、小さな文字がよく見えない人や外国人のような初めて使う人であったりすると、一瞬「これは何円札だろう?」と戸惑ってしまう可能性があります。
そこからいくと新紙幣の方は
・三種少しずつ差があるレイアウト
・カーニング(文字間)広めの数字
・位置や形状の異なる装飾
など、ぱっと見で明らかに「別の紙幣である」と見分けられる作りになっています。
赤ペン先生(Shiratama氏)が新一万円札だけ見て指摘しても、本来三種1セットでみなければいけない事象である以上、それほど意味がないと言えます。
また、偽造防止についても、私はあまり詳しくないのですが透かし、3Dホログラム、超精密印刷等特殊印刷のありとあらゆる技術をふんだんに盛り込んだ絶対偽札潰すマンであると共に、三種それぞれ装飾やレイアウトを少しずつ変えたことや、あえて複数レイヤーで構成したことで、切って貼ってポーンで複製できないよう複雑な画像となっているように見えます。
2019/4/16追記:発行まで時間があるので、細かな配置やフォントは偽造防止のため発表直前に変更されるのでは?という意見を見かけました。その通りだと思います。
見た目がいい=いいデザインとは限らない
新紙幣は
・偽造防止
・UD
の二つの観点からデザインされた以上、印刷物として見た目がいいということよりも「みんなが使えて、誰もコピーできない」ところが一番重要です。
つまり赤ペン先生の言っていることは、たしかに間違ってはいないけど、串団子の一つの団子に「茹で方が悪い!色が汚い!」と言っているのと同じことのように思います。三つ揃ったらちゃんと三兄弟に見えるような色かもしれないじゃん。
あと、赤ペン先生はレイアウトそのものの指摘より装飾や画像のトリミングについての指摘、あと関係ない渋沢栄一の顔についてのツッコミが目立ちますね。本当にプロか?非デザイン職だけどAdobe税払ってる(会社の金で)だけとかじゃないよね?
ちなみにその場合私もデザイナーになってしまう(今は単なるオペレーターです。デザイン科だったけど)
まとめ
- 新紙幣、ちょっとダサいけど使いやすさを考えればそんなに悪くない
- インターネットの自称プロは信用しない
です。
大丈夫大丈夫、これまだテスト利用もしてないイメージだし、実際に発行される頃にはもう少し洗練されたものになってるか、その前にこちらが見慣れると思いますよ。